「君のいた永遠」

詩のある人生の麗しさ。

君のいた永遠(とき) デラックス版 [DVD]

君のいた永遠(とき) デラックス版 [DVD]

  • 発売日: 2000/05/26
  • メディア: DVD
 

 ウチのBBSでよく話題になっている戴立忍(ダイ・リーレン)が出てるってーので、その姿をチェックしとこうかなーくらいの気持ちで先週、「君のいた永遠(原題:心動)」をレンタルしてきました(見る動機、マジでこれだけだった(笑))。
そんな折も折り。丁度同じ日に黄磊の「呂布貂蝉」がフェデックスで我が家にやってきたので、もうアタシは当然のごとくコレにズッポリと陶酔してしまい、他の映画なんかを見る精神的ゆとり(好奇心とか興味といったものだね)なんぞ一ミリもなくなっちゃたのね。でも、まぁレンタルしてきた手前、見ずに返すのももったいないと思って、今日になってしぶしぶと見たんだわコレ。
あー、なんということない青春恋愛モノなのだなぁーと、思いつつ。菓子食いながら、ダラーっと見てた(普通はモノを食べながら見たりしないんだけど)。
わりと脚本が飽きさせない作りになってるなぁーとか、カレンってやっぱ魅力的だわ、とか、タケシって子犬目だなぁーとか。それにしても平凡すぎる話だなぁーとか。
こんなありきたりで夢もない、華もない、ドラマティックな展開もない恋の話って、どうなんだろう?
そう思いながら見ていたのに。最後にはアタシ、号泣してしまった。

 

これねぇ、いい作品でした。小品ながら、とても良い。
こんな地味な人生を扱った映画って久々に見たんだけど(笑)。でも、地味で平凡だからこそ、地味で平凡な私にわかるところがものすごくあった。
描かれているシーン一つ一つの細かな空気ってものに、自分自身の通ってきた道を思い出した。若い日の自分が触れていたさまざま感覚が少しずつ呼び覚まされた。(それは単なる思い出とか感傷でなくて、皮膚感覚みたいなものの共感、という意味です。物語に同化しやすかった、ってほどの意味。)
若い恋。初めての男の子。魂を震わす音楽。慣れないお酒。うまくいかない受験。友達との馬鹿騒ぎ。厳しい母親。見えない未来。
初めて大好きな人とベッドに入ったのに何もしないでむかえた朝の空気とか、親の期待に添いたいのにそうできないもどかしさとか。
ちいさなシーンの端々に(たぶん誰もが感じる)若さのもどかしさ、ってのがありましたね。
作品中で主人公が言っているように「人は誰でも同じ」、という大雑把な命題でくくってもいいかもしれないくらいそれは私の物語でもあるしアナタの物語でもあるし、要するに普遍的なんだろな。

脚本はあっちへいったりこっちへいったり、過去や現在を行き来しながら謎かけをしてはそれを解いてゆく…みたいな複雑怪奇な進行なんですが、難しい話じゃないので混乱もせず、効果的な作風になってます。
そして、ありきたりで平凡な恋の話の最後の最後に、「ありきたりでない」エピソードがある。それがもう、胸に来ちゃう。でも、誰にだってきっとこんな恋はある…と思わせる力強さがここにはあるのね。
ラストまで見て初めてこの作品のテーマがわかる。ラストになって、主人公も初めて「わかる」んですが、観客もそうなんだと思う。
なにが「わかる」かは、内緒(笑)。各自が観て、納得するものと思うので。
でも、もしかしたらとても若い子には、この作品の本当に言いたい部分ってのはわかんないかも。わかんないのが、若い、ってことなのかも。

噂のリーレンは金城武の中年期を演じてました。
別にタケシとリーレンって似たタイプでもないと思うのだけど、映画の中ではなんだか自然にこの二人、溶け合ってた。
ジジはちょっと背が高すぎて中年期には印象のずれがあったけど(笑)、ジジそのものは、まさしくハマり役でした。
カレンも独特のちょっとなぞめいた雰囲気が生きていた。でも、カレンに関してはもう少し描きこんで欲しかったかも。そこが少し残念です。

あ、あと一つ。一番私が胸に深ーく感じたこと。それは、

「恋する男は詩人じゃなくちゃ!」です(笑)。
これはいつもそう思ってるんですけど、再確認しちゃった。言葉でなくても、音楽でも、映像でもなんでもいいけど、とにかく「詩人」。ロマンティスト、ってことですね。
つか、女より男のほうが詩人かもしれないね、もともと。そんなことを感じたりもし。
この映画でもタケシが詩人だったから良かった。それに尽きると思う。