「走到底」

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姜武(ジァン・ウー)、莫文蔚(カレン・モク)、張震嶽チャン・チェンユエ)出演、施潤玖(シー・ルンジウ)監督の逃亡ロードムービー
姜武の運転する車をヒッチハイクした女・莫文蔚。そこに、取引の相手からブツ(高価な骨董品)だけ奪って逃走中のヤクザな彼氏・阿嶽が乗り込んできて、ヤクザ組織に追われーの、警官に追われーの、という話。
コレ、99年からロケなど始めて、2000年に出来上がった大陸作品なんだけど、作ってしばらくはお蔵入りだったんですよ。
公開されたのは2001年に入ってからだったような。しかも大陸では公開されたんだけど、台湾では結局公開されずじまいだったような。
確かめてないけど当時の記憶ではそんな感じ。間違ってたらゴメンナサイ。
というわけで、積年の願い叶ってやっと見られた(感涙)。

当局の検閲に通るだけあって、犯罪ロードムービーのわりにはバイオレンス度はおこちゃまレベルで、暴力嫌いな乙女ちゃん(アタシ)にも無理なく見られる内容。
相変わらず、何をやっても巧い莫文蔚が存在感あります。
ボサーっとした「むっつりエロオヤジ」な姜武、見たまんまな「無鉄砲チンピラ」阿嶽もハマリ役なのかもしれない。
が!しかし!アタシはあえて言いたい。
阿嶽の魅力は見たまんまとは違うトコにあんのよぅ。
たまにはフツーのサラリーマン役とか、思い切って医者の役とかやらしてくれ!
本人もこの映画撮影後に「もう映画はあんまり出たくない。いつもこういう役だから」ってイジケちゃってたけど、気持ちは痛いほどわかる。
こうして阿嶽のイメージってのはどんどん下層的なものになっちゃうんだわ。なんか悔しい。
この前作(「超級公民」)でも犯罪者役で逃亡者であげくの果てに死ぬ、っつー似たような役だし(最後は遺影になってる、ってのまで同じ(爆))。あのビジュアルでそういう物語が浮かんじゃうのはもはや貧困でしょうが。あんまりだわ。

ミウチ的な感情ばかりで言うわけではありませんがね、阿嶽はあんなビジュアルですが、ホントはとってもマトモな子なのよぅ。芸術家ですしっ。頭イイしっ。何よりもものすごく感受性が豊かでナイーヴなの。
でも、そもそも中華圏の明星さんたちとは民族が違うってとこから、どこか特殊に見られちゃう。マトモに見られないトコがある。刺青してても不良じゃないのにー。ロックやってても不良じゃないのにー。
阿嶽がどんどんマスコミ嫌いになって今やほとんど姿も見せないのもわかる。たぶん、自分でない自分のイメージ(ワルイ子イメージ。下層的イメージ。)が一人歩きしていっちゃう気分なのかもしれない。それに耐えられないのかも。繊細ですからねー我が小弟弟は。
でも、裏を返せばそういう「無理解の悲しさ」をごく自然に体現できちゃう阿嶽だからこそ、「どうにもならない状況から必死で這い上がろうとするけど結局ムリ」っていうヤクザな役が与えられたときに、もう、根本的にヒジョーに巧くこなせちゃう…っていうことにもなりーの。ああ悲しいわ。
つーことで、とどのつまりはやっぱこういうのがハマリ役なのかも(哀)。
ああ…でもいつかはさせたい医者や科学者の役。もしくは、サラリーマン、青年実業家、教師、弁護士、大学教授、名探偵、etc。ホワイトカラー・プリーズ!

てなこといながら、演技をするときには、阿嶽はいつもお決まりイメージにおんぶに抱っこ状態ですから、演技力はナシです。
「素か?」みたいな。墓穴。
怒鳴り声を上げてもあの可愛らしい声なのでドスも効いてません。(甲高くて舌足らずのとてもキュートな声の持ち主なのだ、阿嶽。これまた顔に似合わず。)そういうトコもまたまリアルに「いっぱいいっぱい」の人間っぽくって涙を誘ったりもし。
ちなみに姜武は演技らしい演技してない風なんだけど、ものすごく濃厚にヤらしいのはなぜだろう?と思うほど、心理表出が巧い(のか?)。最初から最後までカレンを見る目が「欲しくて欲しくて」って感じ(爆)。これはこれでちょっと魅力的でしたー。

 

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「超級公民」に続いて、またヅラ・プレイ。濃いっス。プエルトリカ~ンって感じ。
でも色気はなぜか全く感じないのらー。カレンと恋人役なのに、どうみても姉、って感じ。

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字幕が邪魔だが、この映画の中でアタシが一番好きな表情がこれ。
苦悩する眉根がイイ!守ってあげたい。思えばアタシの母性本能をくすぐる唯一の明星だなー阿嶽って。

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このビジュアルゆえに見たまんまで判断されがちな人(哀)。
怖くないよー。こんなカワイイ子、いないんだよー。ホントだよー。


オマケ:この映画の公開記者会見時の阿嶽

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きゃわいいだろ、きゃわいいだろうぅぅ。
恥ずかしがりな阿嶽はいつもなんとなく伏目がち。か、もしくは過剰におどけて見せたりすんの(*´艸`*)