「ロード・トゥ・パーディション」

闇の暗さ、光の眩さ、トム・ハンクスのせつなさ

ロード・トゥ・パーディション 特別編 [DVD]

ロード・トゥ・パーディション 特別編 [DVD]

  • 発売日: 2003/03/19
  • メディア: DVD
 

 本日見てきました。
もーーー、やっぱイイよぅぅ~トム・ハンクスはっ(涙)。めちゃめちゃ好き。
今回のトムは悪役だと聞いていたのでちょっとドキドキしていたんですが、たとえ500人の人間を殺してもトムは悪役になどなりようが無いのだと改めて気づいたという…ははは(笑)。
ええ、ちっとも「悪」なんかじゃなかったです。これって「悪」の定義にふと疑問符を投げかけるのにうってつけのキャスティングかもしんない(!)。や、もちろん視点を変えれば極悪人なんだけどさ。
そうはさせないのよ。だってそれはトム・ハンクスだから~♪


でも、やはり人殺しの役を演じるトム、というのは今までに無く刺激が強かったです。
ちょっと泣いたよ。あまりにもその姿に銃が似合わないのだもの。でも、ちょっと「感じ」た(爆)。この「感じ」はトムだからこそ醸し出せるのだと思う。もともと色っぽい人とか男性的な魅力の見せ方が巧い人ではこうはいかないもん。「いいひと」がああいう状況にいて初めて匂い立つ色香ってのがあるよね。ま、色香よりどっちかって言ったらやっぱりツライ感じのが大きいんだけども。

さぁ、これから人を殺しに行くぞ、って時に、トムが身支度を整えるシーンがある。
その時ね、聖母マリアの絵の横でマシンガンを組み立てるんですよ。
この映画って、基本線がマフィアの抗争モノなので、イタリアンマフィア物によく見られるように、やたらとカトリックの匂いがするの。(主人公達のグループはアイリッシュマフィアですが。)もう、全編カトリック。教会に十字架に聖母マリアに…それがまたたまらない(個人的な感覚が大きいかもしれないけど)。
プロテスタントでは到底醸し出せない深みを醸し出してます。全てを包み込んで黙する神の存在が重い重い。限りなく重厚。ちょっとした見どころといえましょう。

もちろん最大の見どころ&この映画の主体はトムの父性のありよう、なんですが。
これはもう、独壇場って感じです。
トムっていつのまにこんなに大きな「お父さんの背中」を持つようになったのかなぁと15年来のファンのアタシはしみじみと思いつつ。
今までもトムは何度も父親役をやってるわけですが、これまでの役はどうも「立場は父親だけど、普通の男」だったわけです。特に父親をテーマにした映画があったってわけでもなかったし。
でも、この映画は違う。「父親」という概念の具現を演ってる。それ以外の何ものでもない。
一人の男でもないし、亭主でもないし、ヤクザでもないし、殺し屋でさえない。
映画は第3者的な目線で物語を描いているのですが、それは多分に息子の目線に重なる。これは息子の目から見た父親の話なのだという感じ。だから全編を通して父親の姿が愛に包まれた戦士の如く凛々しく、勇敢に、大きく、そしてとても哀しく写る。
トムは本当に「お父さん」だったです。
私ってとてもファザコンなところがあるので、かなりキちゃった。
トムの肩から背中の肉付きのいい上腕部(っていう?)が、特に「お父さん」で、もう思いっきり抱きしめて欲しい(子供になって抱きしめられたい)気分だった。ああホントに。


この子役の男の子タイラー・ホークリンがまた巧い!
現代っ子の顔をしてないんだよー。しっかり1930年代のマフィアの父親を持つ少年の顔(って、実際には知らないわけですが(^^;。イメージよ、イメージ)なのです。
経歴見たらこの子は学校に行ってないらしい。親が教育してるというご子息。
なので俗世間に汚されてないのかもしれん。そういうのって雰囲気にやっぱ出るね。
助演男優賞モノかも、という素晴らしい演技力なのに、ほとんど新人、ってのが驚く。

共演は御大ポール・ニューマンと「世界一美しい男」(らしいね(笑))ジュード・ロウです。
ポール・ニューマンはもう、本当に巧いよね。手堅い、っていうか。ジュード・ロウも巧い。
なんだよ結局みんな巧いんじゃん(笑)。芸達者揃いだったってことだよね。
あ、でも少しだけジュード・ロウが見せ場が少なかったかな。
強烈なキャラなのに(笑)追っかけの執拗さがもうちょっとクドくても良かったかも。ま、時間無いからしょうがないやね。あくまでもワキだし。つか、ゴメン、アタシの目線が全然ジュード・ロウに行かなかっただけかも(^^;。

セットや映像という視覚的な世界の素晴らしさも特筆モノです。
お金かけてるなぁって思う。シカゴの町並みとか、どうやって再現したの?な世界です。
雪のロックアイランド、降りしきる夜の雨、旅の途中の農場、最後の浜辺。そういう自然の美しさもすごくよく生かされている。綺麗な映画。
とにかくこれはもうすっごいオススメ。トムが出てるから、ってだけでなく好きですこの映画。
いや、違うな。やっぱりこれはトム・ハンクスだからいいのだ。(だいたい、そうじゃなきゃアタシゃそもそも見ないしな)


ああー、しかしなんだね。
これでトムがまたオスカー獲ったらどうしよう。
そんな彼岸まで行って欲しくないわけだが、オスカー獲ってほしくもあり…つかそもそも獲らなきゃおかしいくらいの演技なわけだよ。でもさ、世の中、「トムにばっかりイイ役がつくのってどうよ?」って思ってる人きっといるよね。
イケズなハリウッド連中の嫉妬をかわす為にも、今度はお気楽なコメディにでも出てほしいわ。なーんて思ってたらお次はスピルバーグ作品だって。デカプと共演らしい。