「情緒と創造」

 

情緒と創造

情緒と創造

  • 作者:岡 潔
  • 発売日: 2002/02/28
  • メディア: 単行本
 

 

岡潔・著、講談社
「文学部をめぐる病い」(高田里惠子・著)という戦前の教養主義旧制高校をちょっとおちょくった本が面白いらしいので探しに行ったのですがみつからず、表題の本を借りてきたら、こちらは旧制高校の生んだ素晴らしい知識人の著作でした。
この本は頭が悪いと読めません。たぶん。私も正しくは読めていないんだろな、と思う。2行の文章の中に何十年分もの思索の蓄積や哲学があるのでスイスイ読むなんて芸当はできない。でも、書いてある文章は驚くほど平易なんですよ。簡単な言葉で超・難しいことを語る人。
ロジックが特異なのも影響してるようです。この著者は大数学者なので、モノの考え方がいちいち理系なんですよね。でも、言っている事は人間の真理です。
特に父や母である立場の人は、(教育論のようなものなので)読む価値がある...かも。100マス計算とか、声を出して読みたくなっちゃったりする日本語などという最近流行の教育論と、実は同じ「ような」ことを言いながらも(岡センセはこの本を60年代に書いておられますが)その「質」が全く違います。
方法論だけ得て実践するのと、「智」の本質を知ってそこに沿った実践から導かれた方法とは違うと思う。
戦後民主主義の洗礼を受けた左翼的平等主義の人間にはカチン!とくる記述も多いだろうと思いますが、(女性と男性が違うこと。誰もが創造力を持ちえるわけではないこと、など。)何のてらいもなくそう言った「過激」意見を科学者らしい論理的見方でまったりと唱える岡センセには大きなものを感じます。旧制高校を復活させよ、というのもありました。でも、私も実は同じようなこと思ってます。女子高出身だからかな。奥が深そうな問題なのでこれ以上は触れずにおく(笑)。