「美代子、石を投げなさい」

 荒川洋治の詩集「坑夫トッチルは電気をつけた」に収録されている詩です。
著作権に触れちゃうから紹介できないのだけど、すごい詩でした。革命的な詩だよね。
言葉と世間と美学とコミュニケーションと自己意識のあいだをウロウロしながら悩み疲れていた私を、この詩は大きく抱きとめてくれた。涙が出ました。
荒川さんの持っている基本的な価値観って、私が普段もやもやと思っていることに近いのです。同じ嗅覚を持っているように思える。もちろん私にはそれを言葉にできる力などないのだけれど。だからこそ、それを表現してもらえたスッキリ感もまたたまらないの。
書かれる詩の印象は決して私の好みではないんです。にも関わらず、その構造は驚くほど深く巧みに私の闇を照らし出し、示された世界は私を慰めてくれる。
激しく「俗」に対峙する詩人の言葉に、きっと勇気づけられます。
もしもあなたが無名の詩人だったなら、特に。

 

坑夫トッチルは電気をつけた―荒川洋治詩集

坑夫トッチルは電気をつけた―荒川洋治詩集

  • 作者:荒川 洋治
  • 発売日: 1994/10/01
  • メディア: 単行本