■「日本人と「日本病」について」(岸田秀×山本七平 文春文庫)
「宗教なき日本人の共同幻想」というところからの日本人論。昔、どこかで読んだような内容でした。それとも今やこんなの単なる常識なのかもしれない。初出がどうやら「諸君!」だったようですので、推してください。
社会問題、少年犯罪、旅先での(それもいつもながら貧困地域中心)エピソードなどをもとにした短いエッセイなどがまとめてあります。曽野さんのご意見にはいつも心がスッとします。共感がとても多いので。
吉本さんはホントに芸術家ではないなぁーと思いました(もちろん思想家としては超一流だと思ってますが)。だから、詩人について(詩そのものについてももちろん)語らないほうが無難だと思います。ウタダやユーミンにまで言及するのも無理があります。わかってないですもん。つまんないです、単純に。でも、吉本さんの書くものは面白いはずなので、要するに選んだ題材が向いてないということだと思います。「なんでも屋」でなくてもいいのに。
エッセイ集。こちらはホンモノの芸術家=詩人ですが、芸術家は日常について語らないほうがいいかと思います。なんだかイキナリ偏屈なイメージです。芸術家は偏屈でもいいのかもしれないけど、日常でこんな感覚と隣り合わせになるのはヤだな、と思う。ラジオで話してる荒川さんとはだいぶ様子が違うようで…この人は多面的なのかどこかで無理をしてるのか偽悪的なのかなんだか不明です。
出色の本です。作者の服部さんはワイルダーの世界の強烈なマニアだし、強い愛を抱いているのですが、批判するべきところはキッチリとしています。それがまた、鈍感な人間には気がつかないような、本当にその対象を見つめている者しか気づかない「欠点」だったりするので、驚きます。目から鱗、でした。その行動力も清々しいし、他者との関わりもとても地に足の着いた感じで・・・ああ、こんな風に私もなりたいなぁーと思いました。ホントの知性を感じます。ワイルダーの世界以上に作者(服部さん)のファンになってしまいました。
夏休みに入ってから娘に、寝る前に落語を読み聞かせしてます。テキストは、
■「林家木久蔵のこども落語1~6」(フレーベル館)
これは読む人の力量(笑)が必要ですよん。「べらんめぇ」が巧い人は是非。私は群馬県人なのになぜか普段から「べらんめぇ」なので、落語は好きです。1回読んで聞かせっとアタシより巧く「べらんめぇ」で読んじゃうウチのコはスゴイ。育ちかねぇ。