「昭和が明るかった頃」

 

昭和が明るかった頃 (文春文庫)

昭和が明るかった頃 (文春文庫)

  • 作者:関川 夏央
  • 発売日: 2004/11/10
  • メディア: 文庫
 

関川 夏央・著(文芸春秋
吉永小百合石原裕次郎を中心に、日活映画を語りながら戦後「昭和」、高度成長期の日本を考察してゆく…という評論なのですが、とても柔らかい内容で(芸能記事的に面白いということ)、すごく楽しめました。エピソードがいちいち興味深くって。
昭和の30年代なんて私は生まれてもいないわけですが、あの頃の匂いをなぜか覚えているような気がするのは父母の影響かもしれません。丁度、彼らの青春時代と同時代ですから、そういう話をよく聞かされてたせいで。
裕次郎がどれだけ世の中の価値観を変えたかという社会現象から、赤木圭一郎の衝撃の事故や、ひばりと旭のゴシップなどまで。この本に書いてある事件はなぜか全て身近なものでした。そういう寄り添い感(?)があるせいで、女性誌ゴシップ的にも楽しめる芸能批評としても、はたまた映画史(あるいは大衆芸能史)という側面から見た時代考察としても、あの時代の独特な空気感を味わう点描としても、とても満足のいく本です。この時代の芸能界に興味がある人にはオススメ。
それにしても、吉永小百合という人は、まさに百合のように可憐です。その存在がもう完璧に綺麗なのね。たぶん、ものすごく真摯だからだと思うけど、真摯な人は他にもいくらでもいるわけでしょう?小百合さんの場合はそれが姿かたちに具象化されてるんですよね(要するに見たまんま、ってことでしょうが)。だから稀有なんでしょうかねぇ。
最近の芸能人はやはり粒が小さいと思わずにはいられません。それは大衆の側の問題なのかもしれませんが。