「スコルピオンの恋まじない」

 

スコルピオンの恋まじない [DVD]

スコルピオンの恋まじない [DVD]

  • 発売日: 2015/03/03
  • メディア: DVD
 

 待ってました!DVD化。
ってことで、やーっと観られた。
えーっと。この映画を楽しみにしていたのはひとえに「ダニー(ダン・エイクロイド)がウディ・アレンの映画に出る」ってことだけだったんですが…それ以上に思いのほか楽しめました。いい映画でしたよー。
やっぱりとことんウディ・アレンってオシャレなんで、映像と会話のテンポと雰囲気だけでスマートに世界を構築する、っつーか。すごいなーと思うね。
ストーリーは単純だし、ものすごくシンプルな作品なんですけど。シンプル・イズ・お洒落。大戦間時代のNYの雰囲気が満載で意匠などがとても素敵です。
う~ん、イイ(゚∀゚)!古い探偵小説(ディクスン・カーのように神秘的な)を読む感覚であり、ロマンティックコメディを見るようでもあり。ゆったりとした気分で肩肘張らずに見られる。30代以上のカップルのデート向き作品(?)かも。


舞台は1940年のニューヨーク。
保険会社の腕利き調査員C.W(ウディ・アレン)は、新しく入社してきた同僚のベティ・アン・フィッツジェラルドヘレン・ハント)とは犬猿の仲。
ところが、ある日飲み屋の余興で魔術師に催眠術をかけられた二人は、謎の呪文を唱えられるだけで「別人」になってしまうという体質(?)になってしまう。やがて、その呪文が二人を変えてゆくことに…ってなストーリー。ネタバレが致命的かもしれませんのでこれ以上書けません(^^;)。

ま、とにかくね。この映画の一番の見どころは全体の雰囲気なんですよ。
ストーリーも単純ですが面白いし、俳優の演技もいいんですが、そういうのを超えて物語の動いてる世界を俯瞰して観るような観方が活きるっていうかなぁ…
40年代のNYの保険会社に実際に身を置く感覚っていうか。
そういうのが良いんですね。そういうことができる映画。小道具の一つ一つにまで、そういう趣向が凝らされていて楽しめます。
そこに身を置くと「コンスタンティノープル」とか「マダガスカル」って言葉の持つエキゾチックな神秘性も出てくる。台詞の中の「ムッソリーニ」も「ヒトラー」も匂いをもつ。BGMのバンジョーも効果満点になる。でもって、ダニーのダブルの背広も撫で付けた禿げた髪も、いつもより一層ステキになるのだ(*^-^*)。(ダニーは保険会社の社長で、ベティ・アンの愛人という役です)
映画全体がそれこそ催眠術みたいな、夢のように別次元に佇んでる気分が楽しい。

ダニーの恰幅の良い体格から繰り出されるものすごく滑舌達者な台詞を一言聞いた瞬間に、私は急に「里帰りモード」になってしまいました。←「やっぱり私の一番好きな人はこの人だ」みたいな(笑)。
ダニーの「Good night baby」とか「my sweetheart」とかいうセリフを聞くだけで私は催眠術にかかってしまう。トロトロ~。もっと言って。
あー。要するにダニーってのは私にとってそういう存在です。
ただただベビーと呼ばれて可愛がられたい妄想を生む、ってか。ちょっとファザコン入ってるのかな。パパにするにはもったいなさすぎますけど!
最近のダニーはいつ見てもどこか不満だったんだけど(ビジュアル的にもですが、それ以上に役柄というか使われ方的に)、それを感じさせなかっただけでもウディ・アレンにお礼を言いたい気分です。
ウディ・アレンは「サタディ・ナイト・ライブ」の頃からダニーの大ファンだったんだそうで(*^-^*)、だから、とってもリスペクトした使い方をしてくれたのだと思う。
嬉しいなぁ。最近はジェイソン・ビッグスも可愛がってくれてるし、ウディ・アレンさまさま、って感じです。

ウワサではこの映画、最初にウディ・アレンは自分の演じた役をトム・ハンクスにやって欲しかったらしいのね。それだったらもしかしてもっと良かったかもしれないんだけど、もしそうなら映像的にも、それを見る私の感覚的にも暑苦しすぎる悶絶萌え萌え映画になりそうだったので、やっぱりアレンで良かったのかもしれません(^^;)。
ああ、でもダニーとトムの二人の共演は見たかった!なんと踏絵のようなカップリング。どちらかを選べと言われたらアタシゃその場で死んだフリするぞ(どっちも好きで選べない)。
この二人は以前「ドラグネット」って映画で共演してるのですが、その頃はまだトムが若造で、魅力が今ほど濃厚ではなかったので安心してダニーに惚れてられました。
でも、いまや二人とも太りっぷり、禿げっぷり、オヤジっぷりが甲乙つけがたい状態なので困ります(爆)。
彼らもいつかはお爺さんになるのだと思うと、もっとツライんだけど。
若者からまっすぐにお爺さんになって欲しいタイプの人もいるけど、ダニーやトムにはずっとオヤジでいて欲しい。油っこい感じで、太い胴回りのままでいて欲しい。時よ止まれ。…でももうちょっとだけ痩せてね(^^;)。

ウディ・アレンはそういうオヤジ臭さを飛び越えてジイさんになった印象があるね。
若いときからジイさん臭いってーか、ショボイ。
そんな冴えない男が美女と!ってのがウリで、この「不可解なセックスアピール」ってのがまた実に深い世界を垣間見せていたわけですが(笑)。←こういう映画でアレンにオチる女心と、私がダニーにオチる女心は、一般的に見て大差ないのかもしれませんね。ははは(^^;)。
とはいえアレンも今や枯れすぎで、「吹けば飛ぶような小男」というキャラ以上にこちらの(観る側の)いたわりを必要とするようなビジュアル…つまりそれは今にも呼吸困難に陥って倒れるんじゃないか、みたいな…になってしまったので、ラブコメ的なものはだんだんしんどくなってきたかもしれません。腹上死に怯えながら恋をする、みたいな。
相手の女性がアレンのセックスアピールに参ったんじゃなしに、老人介護的慈悲精神を発揮して相手になってやってるんじゃないかと思うと、ロマンチックな気分になれないしねぇ。
ビジュアルはともかく、監督としての力量や脚本の巧さは相変わらずの天才ぶりなので、今後も期待できそうですが。体は老いてもまだまだ頭脳はイケイケですね。

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ダニーとアレン。ヤらしい中年オヤジを演じるとどこか気が弱くなりがちなダニーである。