「スーベニア」/スピッツ

 

スーベニア

スーベニア

  • アーティスト:スピッツ
  • 発売日: 2008/12/17
  • メディア: CD
 

 2年4ヶ月ぶりのオリジナルアルバムです。
…が、「待ったー。待ちくたびれた。」という気はしない。
タイトルどおり、思いがけなくいただいちゃったお土産みたいな、ちょっとサプライズな感じさえする。
まぁ、錯覚なんだけど。ちょっとラッキー?

全体的に「純正スピッツ仕様」という印象であっさりまとまっています。
「ハチミツ」の磐石さは無く、「ハヤブサ」の衝撃もなく、「三日月ロック」のオシャレ感もないけれど、紛れも無くこれはスピッツ。しかも最新の。熟成しきってないヌーボーのワインのような、軽さと爽やかさがあります。

私にとってスピッツとは、それを聴くと”いてもたってもいられなくなるほど何かしなくちゃ!と焦らせられる”起爆剤です。
巷ではいちおー「癒し系」ってカテゴライズされてるらしいけど、わりと真逆。すっごく鼓舞される。「ヨッシャー!ガンバロ」ってな気分になる(場合が多い)。
機能としては、今回のアルバムもしっかりそうでありました。
だからアレだね、スピッツは春先の匂いがする時期に新曲を出してくれるといいです。
陽光が徐々に増えてゆく季節に、新しいスピッツがそばにいてくれたら、すごく嬉しい。元気で駆け出してゆけそうな気がする。

前にシングル発売してた曲は「正夢」だけかな?
そんなところがちょっと地味っぽい印象かもですが、こういうアルバムの方がファンとしては楽しいです。
個人的な話で恐縮ですが、この「正夢」って曲を初めて聴いたとき、私は悶絶するくらい「裏獄」を書きたくなりました(爆)。要するに私の中ではこの曲はあの二人のイメージソングそのまんま。
不器用だけどシアワセで、どうしたらいいのか戸惑いながらも突っ走っていいかな?みたいな恋の歌。(あ、「裏獄」って言葉が意味不明の方はどうか気になさらずにスルーして(^^;)。)

つくづく思うのは、マサムネの作る歌の世界には圧倒的な「生命感」がある、ということです。
「生きる」というのがベクトルの方向だ。落ち込むことがあっても、悲しいことがあっても、それは「生きてる」という祝福の前提の中で繰り広げられる。
まさに「寂しい黄昏に泣けるぜいたく」(「ワタリ」より)なんですよね。
悲しみでなく、贅沢。
この感覚が、マサムネワールドの基本ラインかと。
圧倒的な暗い世界から、マサムネは逃走し続ける。
「われわれの隣にはいつだって死や喪失が横たわっている」という悲しみを常に前提としてそこに分け入ってゆく(例えばミスチルやウタダの歌などにある)世界観とは異質だ。
マサムネはよく自分をサルに喩えているけど、それはサルの強さなんだと思う。
マサムネの中では死や喪失が満ち溢れる現実の「世界」より先に、全存在を解き放てる「宇宙」があるんだろうなーとも思います。もう、それって誰よりも強いトコに行っちゃってるよね。
マサムネの歌を聴いていると、自分の中の不安を考えずにすむ。
生きている喜びの方が何にも増して先に来る、という境地に行ける。
そんなトコロが、私がマサムネを好きな一番のポイントです。
イイトシして、いまだにこんな初々しいココロを描けるマサムネって、驚異的。
これからどんどんジジイになっても、いつまでも青い文学青年ぶりっこのまま、瑣末で偉大で宇宙的でちょっとエロな恋の歌を歌い続けていて欲しいなーと思います。

ちなみに今回のアルバムでの私の好きな曲ベスト5

1.「正夢」スピッツ節。文句ナシ。
2.「ほのほ」私の大好きな「ホタル」(@「ハヤブサ」収録)に似たイメージの曲。せつないメロディ、切羽詰った歌詞。ドラマティック。
3.「ワタリ」これも「ハヤブサ」系の曲かなぁ?好きです。特にサビに向かってどんどん音が集積してゆく感じが。ギターがかっこいい。
4.「ナンプラー日和」開き直りのメロディと元気な歌詞が、イイ!
5.「春の歌」今の季節にこの曲が聴けることの喜びを思います。祝福の歌。