戦時下の手芸本を見て思うことなど

先日入手した「婦人倶樂部」昭和13年新年号付録の編物集で、こんなデザインを見つけました。

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丸刈り頭も可愛い坊ちゃんの着ている服の解説は、
「全体を國防色にして肩飾りをつけ、飛行機と爆弾を落下させた圖案を刺繍し、共のレギンスを添へた軍國調の可愛らしい一揃ひでございます。」
となってます。
…爆弾を落下させた…って(汗)。どひゃ。これ、「ひょうたん」がぶら下がってるんだと思ったんだけど、爆弾とわ!驚き。
これも時代のなせる感覚なんでしょうね。
この他にも、国旗(日の丸)をあしらった図案なども多種載っています。
そうかと思えば、大正以来のモダンなデザインのものもある。
そのゴチャ感が、「昭和13年の時代の匂い」という感じ。
「昭和」という時代は決してひとくくりには語れないなぁ…というのをしみじみ思います。
戦前と戦後が違うのは当然だけれど、昭和13年昭和15年だって、その「匂い」は大きく違う。

時代色ということでは、「國産毛糸を利用しませう。」てな呼びかけもあります↓。

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「戰争もだんだん長くなって、大本営が設置されるなど、いよいよ我が國も本格的に戦時体制になりました。この際、私共銃後の婦人も、一層心を引締めて、一切の生活を國策に順應させ、一致協力、少しでも御國のためになるやうに心掛けることが大切と存じます。…」

などということが書いてあります。国の産業を守る、ということも国策のひとつのわけですね。

化粧品の広告には

「舶来品崇拝はアナクロニズムな観念です。と云って国産品絶対優良なりとファッショ的な考へも望ましくありません。深く見よ!真摯に試みよ!…」

という言葉もあります。

狂信的に「日本万歳」ではなく、かろうじて冷静ではあれど、やはり思想統制的な意図が伺える宣伝文句です。


この時代のものを読んでみると、戦時下の世相というものは、ある時期いきなり一変したというのではなく、日常が少しずつ軍国色に染まっていったんだな…というのが感じられます。
なんとなく、いつのまにか、大きな流れに呑み込まれて行ってしまったのかも…と。
それはきっといつの時代も同じなのかもしれない。
最近、東アジアの各国が日本の軍国主義化というのを盛んに言っておりますが…首相が靖国に詣でただけでこれだけバッシングが起こる分にはある意味安全かも、などと思います(瑣末だとさえ思えるほどに)。
でも、一方では「北朝鮮経済制裁を望む世論は国民の7割以上」などという、ひそかな軍国化が大手を振ってまかり通っているわけです。気づいてる人、少なそうだけど…これってかなり危ない世論だと私は思うんですよ。「それが当然だと主張する人が責められていない」、という点で。
真の危険は「危険だという認識がなく、それが正義だと信じられてるところ」に根付くように思えてならないので。