「アールデコ展」

東京都美術館で開催中の「アール・デコ展~きらめくモダンの夢~」へ行ってまいりました。

私は自サイトなどで「アールデコが好き」と公言しておりました。
自分でも、アールデコが好きだと信じておりました。
だって、私は同潤会アパートやNYの高層建築群、上海バンドに並んだ各国のビルなどがとても好きだし、未来派バウハウスの造型も好きだからです(これらはみんなカテゴリ的にはアールデコとして語られることが多いので)。

しかしながら。
今回の展覧会を観て、私は自分の公言してた言葉が非常に腑に落ちなくなりました。
アール・デコって、なんなの?」みたいな。
言葉の表わすものと自分の思ってることの齟齬を感じたのです。オノレの立ち位置不明状態。

なぜなら、この展覧会には私の「好きだといっていたアールデコ」がほとんどなかったからです。
いったい、私が言っていたところのアール・デコとはどこへ行っちゃったんだろう?


告白しますが、この展覧会、私にはあんまり面白くありませんでした。自分でも拍子抜けするほど、心に触れなかったのです。
その疑いは初めから…この展覧会のポスターにレンピッカの絵が使われているのを見た瞬間から、あったんですが。私はレンピッカにはちっとも興味ないんで。
それからコピーも。「カルティエ、ラリック、レンピッカ、シャネル…」だもん。
うわーどうしよう、どれも守備外(興味なし)だ…と思いつつ、「アール・デコ」の言葉にだけすがるような気分で、足を運んだわけです。

結果、私は初めて、自分が「アール・デコ」というカテゴリに対して憧れを抱いていたのではないということがわかりました。
私の趣味は、たぶん、もっとずっとピンポイントなの。時代も同じだし、意匠も大差ないのですけど…こんなにファッション性高くないし、お金持ちの道楽の匂いもしない。もっと工業的・商業的・大衆的・プロレタリア的な気がします(ってテキトーだなおい(笑))。

ま、正直言ってマリー・ローランサンさえある今回の展覧会の雰囲気と、バウハウスを同一イメージで語ることは私の中では不可能なので、「アールデコ」という言葉だけに振り回されてもどうしょうもないというか。そういうカテゴリに頼ってモノをいう危険(というか手抜き)というのをあらためて感じます。
全然違うもん。

とはいえ、私が好きなものもアールデコの意趣をたぶんに汲んでいる、とは言えます。
だからこれからも私は「アールデコが好き」と端折って言いながら生きてくんでしょう(笑)。
けれど今後は、「厳密に言うとちょっと違う。説明が必要。」ということを認識しながら(つまり自分が端折ったものの言い方をしていることを自覚しながら)話すようになることと思います。

展示品の中でももちろん好きなものはありました。
心震える、ってほどでもないけど趣味に合うものが。
お馴染みの「杉浦非水の銀座線(上野浅草地下鉄開通)ポスター」、「AMカッサンドルのポスター「北極星号」」(←これが展示品の中で一番好きだった)、「ソヴィエト・アルメニアのためのポスター」など。←これはポストカードも買いました。

展覧会場はものすごく混んでいました。
エジプトのスカラベなどあるコーナーはちっとも人が進まないのでパスしちゃったよ…。
初日からかなり経つのにこれだけ混んでいるなんてすごいですね。
コピーに謳ったカルティエとシャネルの効果でしょうか?
それもまた素晴らしいことですが。
美術館だって存続が厳しい昨今ですからね。こんな作戦勝ちも天晴れ!です。